Fahrenheit -華氏- Ⅱ
へ―――っ!!?
慌てて首元に手をやるも、よくよく考えてみれば
そんな社会人常識的上、ルール違反なことを瑠華がするわけもない。
シロアリ緑川ならやりかねないだろうけど…
「冗談ですよ♪」
二村めっ!ハメやがって!!
バツが悪そうに、ちょっとだけ二村を睨むとこいつは意味深に笑っていた。
「神流部長ってば、エロ~い♪」
こいつは…
なんだってんだ…
そう思ったけど、何も言わずに今度こそ喫煙ルームを出ようとした。
これ以上関わるのもめんどくせぇ。
「あ!」
またも二村が声をあげ、俺はうんざりした顔で振り返った。
今度は何?
「それ!フランクミュラーのロングアイランドでしょ!?momo2だっ!」
二村は俺の手に握られている瑠華の腕時計を目ざとく見つけ、指差していた。
ホワイトパールの文字盤と、ピンクのインデックス。クロコダイルストラップは淡いピンク色だ。
瑠華のイメージにぴったり♪
しかも名前もモモ…?って言うのね。
ってか、詳しいなお前。
「欲しいってねだられちゃって~」
二村は照れくさそうに頭を掻いた。