Fahrenheit -華氏- Ⅱ

俺もシャワーを浴び終え、瑠華の部屋の洗面所に置いてある髭剃りで髭を剃ると、髪を整えワイシャツに腕を通した。


広いリビングに向かうと、瑠華はスーツケースを広げて中身をチェックしているところだった。


10月7日、金曜日。


今日から彼女は一週間の休暇に入る。


単なる休暇なら俺も仕事の終わりに会いに行けるのだが、彼女はその休暇の殆どをアメリカ、ニューヨークで過ごすことになっていた。


同じ会社、同じ部署、席も隣。


毎日顔を突き合わせているから、居ないのが考えられない。


できれば一緒に着いて行きたい。そんなこと叶わないと分かりきってるから、尚更寂しい。


今日から一週間、瑠華に会えない……そう思うと寂しくて、寂しくて俺は孤独死(←使い方違うし)しそう…




ニューヨーク大学を飛び級、おまけに首席で卒業。


ニューヨークで僅か18歳で会社を起業し、一時経済誌で取り上げられるような大企業まで発展した。


その彼女を俺の親父は、親友の娘だからという理由で我が社へヘッドハンティング。


もちろんやり手だってことが大前提だけどね。


そんなわけで今年の4月から俺たちは同じ職場で、パートナーとして働くことになったわけだ。


噂通り…いや、噂以上に彼女の仕事ぶりは華麗で、かなりのやり手。


24だというのに、すでに管理職だし。


顔は可愛いのに、中身は男の俺より男前。


毎日キュン♪と心臓を締め付けられてる俺。


瑠華と出逢うまではかなり女と派手に遊んでいた俺だが、「お前、大丈夫か?」って自分で自分を疑いたくなるほど、今は彼女に溺れている。








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