Fahrenheit -華氏- Ⅱ
てか、瑠華もちょっとずつだけど変わってきてるよな。たった三人の部署だけど、飲み会参加したいとか、
だ・け・ど
『会いたかった』
変わったどうのより、その言葉が聞けて嬉し過ぎる!
瑠華の言葉を頭の中で反芻しながらスキップしそうな勢いで廊下を歩いた。(まぁ実際してはいないが)
ブースに戻ると
「資料見つかりました?」と佐々木は鞄にあれこれを仕舞っている最中で
あ、そうだった。(適当な)資料持ち返ってくるの忘れた。
「そう難しい資料じゃなかったからすぐに見つかって報告した」と適当に言い訳して
「それより、柏木さんもお前と三人で飲み会したいって」と報告すると
「へ!?」と今度は佐々木が間抜けな声で目を開いた。
「何だよ、不服か?もしかして社外で会議とか想像してるんじゃないだろうな。純粋に飲み会だ」と念置くと
「いえ!嬉しいな!て」と佐々木はほんの少し顔を赤らめる。
おい!瑞野さんはどうなった!と聞きたかったが社内だからな、余計なことは言えない。
結局、それから数分後、俺たちは会社から少し離れた居酒屋に落ち着くことになった。そう言えば佐々木と飲みに来たのも随分久しぶりだ。普段は裕二&綾子と三人が多かったが、あの二人も何だかんだでくっついた後、仲良し三人で~って感じじゃなくなったし、それよりも俺は瑠華と居る時間が断然増えたワケで。
俺は携帯で瑠華に店の場所を伝えると『先にはじめててください』との仰せに、素直に甘えることにした。
「お腹すきましたー!部長っ!軟骨のから揚げ頼んでいいですか?」
とか
「この出汁巻き卵と明太チーズ卵焼きで悩むんですが、部長はどっちがいいですか?」
とか
「やっぱ刺し盛りは外せませんよね~♪♪
あ!でも大トロあるじゃないですか、ここ!悩むっ!!」
とか??
あの……俺一応上司ですよね……もっとこう…気を遣うとかね……ってネ、謙虚って言うか…まぁ変に気ぃ遣われるのもこっちが疲れるし、これはこれでいいのか。
佐々木と居ると、何か色々疲れてたことが吹き飛ぶ。な~んか、こいつって落ち着くんだよね??まるで長年連れ添ってきた老夫婦のような??
最初の一杯で頼んだ俺のビールと佐々木の梅酒のソーダ割が届いて、俺たちはすぐさま乾杯。
「お疲れさん」
「お疲れさまで~す!」
俺は瑠華が到着してないって言うのに、すぐにジョッキのビールを飲みほした。二杯目にも生ビールを頼もうとしていると
「いいなー、羨ましいです。そんなにたくさん呑めて」と佐々木が面白くなさそうに口を尖らせる。
読者の皆様は知っての通り、佐々木は下戸だ。
「別に酒が強いからって得することなんてねぇだろ。敢えて言うなら取引先との会食の時に役立つぐらいで、てかイマドキ会食もねぇしな」俺が苦笑を返すと
「だって女の子とデートのときにさりげなくオシャレなバーとか連れて行けるじゃないですか。部長みたいに」
と、すぐさま佐々木に言われて俺は苦笑い。