Fahrenheit -華氏- Ⅱ

* Side Ruka*



.。・*・。..*・ Side Ruka ・*..。・*・。.


緑川さんの話を聞き、それでもどこか揺らぎがあったのだろう。


啓と会いたい―――と思ったのは止めて欲しかったのだろうか。


いいえ、違う。


本当は最後に背中を押してもらいたかったのだ。


さっきのキス、一瞬だったけれど勢いがあったのかあたしを僅かに押した。


あたしはキスされた唇をそっと押さえた。





あたしはもう悩まない。
決心がつきました。




別れる際、啓に言った言葉。彼はきっと聞こえていない。




―――ヴァレンタインを潰す。


Fahrenheitを取り戻す。



けれどその前に方をつけないきゃいけない問題をDelete(消去)する。



――

―――


夜の22時。街を歩いていると、思いのほか人が多かった。大抵あたしが会社から帰る時間はもっと遅いからこの時間帯、こんなに人が多いことに少しだけ驚いた。


しかも今日は週はじめの月曜日だと言うのに。


まぁ、私も週はじめの月曜日に飲みに行ったけれど。しかも心音をほったらかして。


啓の方がよっぽどマシかしら。心音を本当に心配してくれてるようだった。


はぁ


親友失格ね。


でも、その親友の助けが無いと『計画』は失敗に終わる。


慎重にならなければ。


あたしはいつもより背筋を正し、バレンティノのヒールを鳴らし、歩を速めた。

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