Fahrenheit -華氏- Ⅱ
TRRRR!
けたたましい程の音が鳴り響き、しかし無意識に俺の手はその音の鳴る方へ向かい、音の出どころをまだ覚醒し切ってない脳を何とか回転させて手であちこちに彷徨わせる。
やがて音の出どころを何とか見つけた俺は携帯を手にしていた。
「……電話?」
一体何時なのか分からなかったが、久しぶりの心地良い眠りを妨げられた俺は若干苛々しながら、まだ完全に持ち上がってない瞼を何とか持ち上げて半目でディスプレイを見て
着信:♥瑠華♥
になっていて
「ぅをっ!」
変な声をあげて飛び起きた。
ど、どーしたんだ!一体!まさか心音ちゃんが何かやらかしたのか!?
覚醒しきってない脳で精一杯の『最悪』を考えたが、それよりも早く指は『受話』を押していた。
「ど、どーした!」
思わず勢い込むと
『……すみません、まだ寝ていらっしゃいましたよね』とどこまでも遠慮がちな瑠華の声。
俺はどんなに朝早かろうと、どんなに寝起きが悪かろうと、瑠華の声を聞いたら一発で元気になる!それは栄養ドリンク以上の効力だ。
『すみません……早く目覚めてしまって…』との瑠華の言葉に俺は壁に掛かっている時計を見ると、確かにまだ明け方5時前だった。
「いいよ、いいよ~どうせもうすぐ起きる時間だし」
俺は文字通りへらへら笑った。
しかしその笑顔をすぐに引き締め
「何かあった?心音ちゃんが何かやらかしたとか」と至極真剣に聞くと
『心音…?いいえ、彼女はきっと寝てます』
そっか…心音ちゃんも寝ることがあるんだな~…俺がいつ会っても元気いっぱいだし24時間起きてられるサイボーグ……て言うか魔女?だと思ってたが…
『心音は眠ると最低12時間は起きてきません』との瑠華の説明に
寝溜め??と単純に思った。
そーいや、瑠華も寝溜め派だったな…
ってそんなこと思ってる場合じゃない。