Fahrenheit -華氏- Ⅱ


総務部の女の子の説明によると、彼女は仕事の為お茶出しをしようと思ったのだが会議室に鍵が掛かっていた為入ることもできず戸惑っているうちに、瑠華たちの“打ち合わせ”は終わったようで、二人一緒に出てきたと思ったら見送りも居らない、と言われたらしい。


瑠華はああゆう性格だし、誰に対しても物言いが冷たく聞こえるかもしれないが、その裏で色んな気遣いがある。


最初、総務部の女の子も瑠華に叱られたと思ってしょんぼりしていたが、その誤解を解こうと彼女に声を掛けたようだ。


「『ごめんなさい』って言われて、最初戸惑っちゃいました」と女の子は悪戯っ子のように可愛らしい仕草で舌をちょっとだけ出す。


「だって柏木補佐って喋りかけ辛いし、何て言うか……人を寄せ付けないオーラが出まくってて…冷たいって言うか……怖いって言うか……」と言った後で慌てて、「あ、今のは内緒ですよ!」と俺に念押し。


「大丈夫、言わないし。それに彼女もそこんところ自覚してるみたいだよ」と俺は苦笑い。


「でも喋ってみたら全然違いました。冷たいとか怖いとか思っちゃってごめんなさい、って」


まぁ実際冷たくて怖い部分があるから全部に頷けないが……


女の子は瑠華からもらったと言う紅茶の入ったであろうマグカップを両手で包み、瑠華が消えていった方を、まだ彼女の残像を追い求めるように目を細め




「何て言えばいいんだろう……


“儚げ”


って感じを受けました」




「儚……」げーーー!???


いやいやいや!まぁ一瞬の見た目はそうかもしれないけど、瑠華は儚い女じゃない。どっちかと言うと、やっぱり冷たくて怖くて強い女だ。


付き合ってる俺が言うんだから間違いない!

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