Fahrenheit -華氏- Ⅱ
どっちかと言うと男を踏み台にしてまで伸し上がっていくタイプだ。←俺が言うなよって感じだけどな。
「儚げ……と言うよりも情が深くて繊細な人なんだと思います……ついでに言うとちょっと不器用なところもあって」
“繊細”……と言うことには、ちょっと首をひねるが、情が深くて不器用って言うところは合ってる部分もある。
「柏木補佐って彼氏居るんですかね」
と、突如話題を変えられ、これについては何と答えていいのか分からず
「さぁ?彼女とはそうゆう話してないの?」と俺の方が逆に聞いた。
もし瑠華が『彼氏』がいると言ってくれたのなら、ちょっと嬉しいが。
「いえ、それは聞いてませんけど」
あ、やっぱり??ガクリ、と気落ちしてると
「でも―――
柏木補佐に愛される男性ってきっと凄く幸せなんじゃないかな。
って。
男性に限らず、お友達やご家族、柏木補佐の大切な人たちは―――みんな」
大切な人―――
凄く幸せ―――……か
「きっとそうだね」
俺はそう答えていた。自然に笑みが零れる。瑠華が彼女の言う通りの女なら、俺は幸せ者だ。いや、実際幸せを手にした気で居た。
「でも繊細で儚げな部分がある分、それを失ったとき
柏木補佐は凄く、不幸せになりそう。
ガラス細工が壊れるように、簡単に
壊れちゃいそう」
女の子の視線は未だ瑠華が消えていった方を彷徨っていた。
今、ようやく分かった。彼女は見抜いている。
いや、ハッキリと事情は知らないだろうが、瑠華の心の根底にある“病”の部分を。それを病気と捉えず『儚げ』や『繊細』と言葉を使ったのだ。ようは受け取り方の違いだと言うことに、気づいた。