Fahrenheit -華氏- Ⅱ
それでも瑠華は律儀に…かつ淡々と『お疲れ様です』と返してくれた。だけど
『まさかそれを言う為に電話を?』と、若干迷惑そう(?)
わぁ!ごめんなさい!!
俺はもうすでに謝りモード。けれど
『何かあったのですか?菅井さんと』と瑠華が聞いてきて
「いや……うん!何もなかったっちゃ無かったケド、あったっちゃ有ったような…」
『それは何かあったのですか?無かったのですか?どちらですか?』と秒速で突っ込みが入り、良いのか悪いのか、瑠華サン相変わらずぜっこーちょーですね…
「えっと、その前に……心音ちゃんは?今一緒?」
『……いいえ。心音はあたしの寝室で寝ています』声を潜めて、ごそごそと衣擦れの音が聞こえ、それからまた小さなガタガタと物音が聞こえてきて
『大丈夫です』と言う言葉を聞いて安心した。
て言うか今までの音とか?もしかして、もしかしなくても??心音ちゃんと一緒に寝てた!?
ブー!!
俺は見目麗しい美女が二人でベッドに入っている様子を想像して鼻を押さえた。いかん、変な想像をしてしまう。
そんな考えを読み取ったのか
『単に一緒に寝てただけですよ。昔はよくそうしてましたし』
そっか~、ほとんど幼馴染みたいなもんだったしな。
「そっかぁ……瑠華は?寝てた?」ここになって本来最初に聞くべき言葉が出てきた俺、どうよ……
『いいえ。寝てはいませんでした』
その言葉にちょっとほっ。だから1コールで電話を取れたってわけか。
『それよりご報告が遅くなって申し訳ございませんが、啓がご紹介くださったお店でちょっと問題がありまして』
そう言えば、五反田にあるあの曲者の大将の店に行くとか言ってたよな。
と考えてると、瑠華はそこで何があったのか細かく教えてくれた。
何!!?瑠華(たちを)ナンパだとぉ!!?
てかそこに紫利さんも居合わせたことにも驚いたが、女三人は意外に平和だったと言う。
てかそんなレベル高い女どもをよくナンパする気になったな!どんだけ自信家だよ!
しかし驚くこと二そのナンパ野郎を心音ちゃんが追い払ってくれたみたいだ。それもかなり強烈なやり方で。
いっそ痛快とも言える。
『すみません、大将にまた一度お詫びに伺いますので』と律儀な瑠華の言葉に
「あ~、いい、いい。あのひとああゆうの慣れてるから。気にしてねぇよ。ああゆう小さな店だといざこざなんて少なくないし」
『そうなんですか?』と瑠華が電話越しに目をまばたくのが分かった。
てか瑠華も律儀だな~
そんなん軽く流しとけばいいのに。