Fahrenheit -華氏- Ⅱ


裕二に電話をするも出勤前だったがこっちもオッケーで『お前んちだと変に気ぃ遣う必要ねぇしな、楽だ』と笑っていた。てか正真正銘の恋人が気を使ってるのにお前はもっと気ぃ遣いやがれ!


と、何だかんだであっという間に話もまとまり、ついでに言うと時間も過ぎ佐々木が出勤してきて、今日も仕事が始まった。


瑠華は小野田専務と約束がある、と言うことで10時に外出していった。


俺はその間瑠華が作成した稟議書を読むことに。


それは前に提出された稟議以上にことこまやかに詳細が記されていた。


紫玉(しぎょく)開発の株価も一度は下落したものの、少しずつだが戻りつつある。その上に経営立て直しの細やかな提案もしてあって、東星紡がセリ落とした際に変化する純利益などの計算も緻密に掲載してあった。


セリは今日からあと半月程後、つまり11月半ばだ。


今から稟議を上げてギリギリ間に合うって感じだな。これならセリに負けてもうちは特段損はないだろう、と言うことで俺はハンコを押した。一番の理由は俺は瑠華がそのセリに負けることがない、と言う根拠のない自信だ。


ちょうど暇だったのもある、俺は自らその書類を持って会長室に向かった、綾子にメールで提出してもいいが、あまり稟議の提出が親父(会長)に届くのが遅れるのはよくない。綾子はメールを読んだらすぐに秘書課の各社員(あまり知られていませんが秘書課は綾子を含めて四人)に振り分け、彼らの目で最初のチェック、そして綾子に提出、綾子が再チェックをして会長にするだろうが、不在の場合だってあるしな。


瑠華が熱心にとってきた仕事だから、やる前にボツになったら可哀想過ぎる。


と言う分けで会長室に向かうと、重圧的なこげ茶の扉の向こう側


「どういうことだ!!」


親父の罵声を聞いて、俺は思わず片目を閉じて顎を引いた。


ぅわ、機嫌わりぃなー……

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