Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「何か急ぎの用があったの…?それとも俺に会いたいと思ってくれた??」
最後の方はわざと上目遣いで聞いたし、そうであってほしかったが
「急ぎの用件の方です」
と、またもアッサリバッサリ。
ちっ
滅多に見せない俺の「甘えん坊(?)」攻撃も難なくかわしやがって。
「で、用件と言うのは…」と瑠華が早々に切り出したから
スチャッ
(何故か)持っていたシステム手帳を開いて
「待って。俺の今後の予定は……あ、明日の夜は空いてる!」
と言うも、瑠華は益々不機嫌モードで眉間に刻んだ皺を深くさせる。
「冗談デス」と、観念したように両手を挙げて降参ポーズ。だって、ここ最近、瑠華とまともに(ゆっくりまったっり)二人っきりになれてないし。
ちょっとでもね、二人きりで居たいとか……瑠華ちゃんは思ったりしないワケ??
とちょっといじいじしているも、瑠華はその用件と言うのを伝えて早く立ち去ろうとしている模様。
あのぉ……一応確認したいんですが、俺たちって付き合ってるんですよネ??
と、いじけていても
「実は、午後三時間…いえ、二時間程私用で抜けたいのですが」と、瑠華は淡々と報告してくる。
二時間……抜け…??
珍しいことだった。と言うか初めて??
別に…普段たくさん残業してもらってるし、仕事も早いからもちろん即OKだけど。
「何かあったの?心音ちゃんがまた何かやらかしたとか?」
俺が心配になって聞くと
「いえ、心音のことじゃないです。実は、薬がもう無くなってしまって…本当は前の土日のどちらかに病院へ行きたかったのですが…」と瑠華が言葉を濁す。
「そうゆうことだったら大丈夫だよ。全然OK。行っておいでよ。むしろもっと早く言ってくれれば良かったのに」
と答えると、
「迷惑をお掛けしたくなかったので」とまたも瑠華が小さく俯く。
瑠華は……ことあるごとに『迷惑をかけたくない』と言うが、俺にとってそのレベルは全然迷惑なんかじゃなくて、むしろもっと頼って欲しいと思うのに。
て言うか瑠華の予定を潰したのは半分俺のせいでもあるし(厳密に言うとアホ裕二のせいだけどな)
「ありがとうございます。では午後の診察時間に合わせて席を外します。携帯は繋がるようにしておきますので、緊急の場合は連絡ください」
と本当に用件だけ伝えて早々と立ち去ろうとする瑠華。
「待って!」
それを引き止める俺。