Fahrenheit -華氏- Ⅱ
あれこれ考えたかったが、時間も押している。何せ俺は瑠華のクスリを取りに行く!と言う“運び屋”の仕事を頼まれたワケだからな!!なんか響きだけ聞いたらヤバい仕事してるみたいだよな俺……
いそいそと予定していた打ち合わせを済ませ、その後青山のメンタルクリニックへ向かった。
裏通りの駐車場に車を入れ、メンタルクリニックに足を踏み入れると平日の昼間だというのに思いのほか患者数が多いことにびっくりした。
その人種は様々で性別や年齢はみんなバラバラだった。
俺は受付でかくかくしかじか「薬を受け取りにきました」と看護師の女の子に説明すると、委任状がある場合、薬の受け取りのみに限って特に診察は必要ないらしい。まぁ?代理が来てるわけだから、俺が診察されてもね~
敢えて相談するのなら「瑠華を好き過ぎるんです」ってことかな。
委任状と、さらに瑠華が持っていた“お薬手帳”なるものを預かってきたから薬の調剤もそれ程時間が掛からなかった。
今回処方されるのは二種類の頓服だけで、パッケージに書かれた薬剤名と実際のブツとをキッチリ確認して紙袋に入れたのち、手渡され次回は本人が来る旨を伝えると、
「お大事に」とお決まりの台詞で送り出された、ところで
「部長……?神流部長じゃありませんか?」
と声を掛けられ、俺が振り返ると、一人の男が遠慮がちに手をあげ懐かし気な笑顔を浮かべていた。私服だったし、髪型も変わってたから一瞬誰だか分からなかったが
「―――川田さん……?」