Fahrenheit -華氏- Ⅱ
瑠華は一度六本木のマンションに帰って心音ちゃんとタクシーで俺んちに来る、と言う。と言う分けで俺は裕二を“わざわざ”迎えに行って(とは言ってもたった1階下フロア)に車で乗せてってやるつもりだ。
車に乗り込み、やけにそわそわした裕二を訝しんだ。さっきからネクタイを締め直したり髪型をチェックしたりしている。
「お前な~いくら女に会うからって浮気すんなよ?あのオトコ女が居ないことをいいことに」
綾子も一応誘ったが、あいつは大学時代の女友達と飲み会があると言うことで断られた。
「浮気?んなこと考えてねぇよ。俺はこー見えても緊張してるんの」
「緊張?何で」
「だって柏木さんの友達だろ?柏木さんが二人いるって考えただけで怖いよ。まぁ話に乗り気になったのは俺だが」
どうやら裕二はストーカー女の一件から瑠華に気を使って……と言うか恐れているようだ。
「安心しろ。相手は瑠華と180度違うタイプだ。色んな意味で強烈だがな」
180度違うタイプと言うところで一瞬安心を見せたものの、
「強烈?」
と言う単語でまた顔を引きつらせる裕二。
「どうゆう感じに強烈なんだ」裕二が至極真剣に聞いてきて
「まぁ?平たく言うなら
魔女みたいな?」
俺が肩を竦めてさらりと言うと、裕二は益々顔色を青くさせて今にも車から降りたそうにしていたが、それより早く俺がアクセルを踏み込んだ。
「逃げンなよ?一度乗った船だからな、最後までやりきれ」
俺の言葉に裕二はシートベルトに掴りながら、慌てて大きく頷いた。