Fahrenheit -華氏- Ⅱ


綾子はすでにだいぶ酔っぱらってる様子で…てか珍しい…よたよたと廊下を歩きながら


「もー!サイアクだったわ、女子会!」


部屋に入るなり開口一番げんなりしたように額を手で覆った。


「お前は半分男みたいなもんだからな、普通の女子には混じれないんじゃないか?」と俺が本気で言うと


「お前!綾子のどこが男なんだよ!」と裕二に睨まれる。


見た目はともかく中身どっからどーみてもオトコじゃん?


「ビール!ビールある?」と、心音ちゃんと同じような動作でソファにドカリと腰を下ろした綾子は目を吊り上げている。


あのぉ……ここ、一応俺んちデスよね??


まぁビールも冷えてるし、断る理由もなかったから大人しく出したが。ついでにさっき焼いた餃子(残り物)を出してやると


「うまっ!」と綾子は目を開いた。「さっきのお高いイタリアンよりおいしいわ」


そりゃどーも。


裕二もビールを飲みなおし、俺はさっきの紹興酒…と言いたかったが、せっかく瑠華からもらったものだ、大事に飲みたい。と言うことでいつもの焼酎ロック。


「で?何があったんだよ」俺がズケズケと聞くと


「あたしも含めて女三人の飲み会だったんだけどね、一人は結婚するってそれはそれはたっかい婚約指輪と旦那になる男の自慢の嵐、もう一人は凄いハイスペな男と付き合ってるとかでSNSのフォロワーが凄いって自慢の嵐」


「ふーん…でも女同士てそんなもんじゃね?」


綾子はそんなこと一々気にするタイプの女じゃないと思ったが…それは口に出さなかった。


「前はそんな風じゃなかった、何て言うか普通に女子高の延長線上みたいな」


「お前女子高だったの?」


「違うケド、少なくともマウントを取るような仲じゃなかった」綾子は唇を尖らせる。


「お前だって仕事バリバリしてるじゃん。それを自慢すれば良かったじゃねぇか」と裕二が同情気味に眉を寄せる。


「仕事が自慢とかイマドキ流行らないわよ」綾子は缶のままビールをぐいと飲む。


「そっかぁ?瑠華は『綾子さんのような女性になりたいです』とか言ってた(ほざいてた)ぜ?」


何とか慰める為に言うと、「ほんと?」と綾子の機嫌がちょっと直った。


「まぁ柏木さんも綾子も仕事人間だから。それが女としてのマウントの上に居るって聞かれればどうなのかは謎だけどな」


「何で、充分上じゃねぇか。バリキャリだぜ?」俺が腕を組むと


「オトコがいないから仕事に生きるしかないって思われた」と綾子はまたもムスっと機嫌を損ねる。


「そこはすっげぇハイスペな彼氏が居るって言えばいいじゃねぇか!」と裕二は自分の胸を叩く。


「「ハイスペぇ??」」


俺と綾子の声が揃って


「な、何だよ!」裕二が目を怒らせる。


さっきの和やかムードから一転、気心知れてるからか言いたい放題だな。


「まぁ顔だけならハイスペだわね、裕二は」と綾子は「はっ」と吐き捨てる。


綾子……すたれてんなー…


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