Fahrenheit -華氏- Ⅱ


は……


「はぁーーーー!??心音ちゃんと!?お前、綾子のこと愛してるとかほざいてなかったっけ!?もう浮気かよ!」


そりゃ心音ちゃんは見た目だけなら最高クラスだが。


思わず勢い込むと


「浮気?んなワケないだろ!」


と裕二が俺を睨む。


「じゃー、どーゆうわけ…」


「完全にビジネスの話だ。昨日はお互いPCを持ってなかったからな、プログラミングの仕組みとか口で言っててもイマイチ通じなくて、んで、今日お互いPCを持って付き合わせて……その…何て言うの?打ち合わせ的な?」


「そのこと瑠華は知ってんの?綾子は?」


「勿論。心音ちゃんから言ってもらった。綾子にも(今度は)ちゃんと言ってある」


何で…


何で俺は知らされてないんだよ!


そんなくだらない嫉妬(?)をよそに裕二は至極真剣に


「俺、今度の企画に賭けてみる。次のボーナスで綾子に何かプレゼントしたいんだ」


あー…やっぱ昨日の話聞いてたのネ。


「そう焦んなくていいんじゃないの?てか綾子がプレゼント貰って喜ぶタイプか?」


「喜ぶかどうかは別として、俺がしたいんだよ」


「まぁ気持ちは分からないわけでもないけど…」


「お前だって柏木さんとたっかい料理とか食ってるだろ?」


「いや…そんなに…」


俺は考えた。確かにバーには行ったし軽井沢に旅行にも行ったけど(※Fahrenheit参照)


「あのヒト、回転寿司で喜ぶタイプだから」


「回転寿司!?」


「そ。なんか向こう(NY)には無いんだって」


「それは特殊な状況だろ!綾子は日本で生まれて日本育ちなんだよ」


裕二が鬼気迫る感じで勢い込んできて、俺は若干引き腰。


「んなの綾子が満足してるならそれでいいじゃん。不満はなさそうだぜ?」


宥めるように言うと


「けど、やっぱさ、俺にもプライドって言うか……」


まぁ分からんでもないけどな。


「俺は一発当てて綾子にプレゼントしたいんだよ」


「まぁお前の気持ちは分かった。けどあんま気張るなよ?空回りしたら意味ねぇじゃん」


「そうだけど…」裕二は急に弱気になって眉を寄せる。


ふぅ…


俺もため息をついた。


俺だって瑠華にたっかいアクセサリーとか服とかバッグとかプレゼントしたいよ。


心音ちゃんに先を越されちゃったケド。


俺にだってプライドはある。


けど、瑠華がそれを貰って嬉しがるタイプとは思えない。


瑠華が欲しいもの―――俺は何となく分かる。






絶対離れない手と、その


温もり。


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