Fahrenheit -華氏- Ⅱ
そう言うワケで裕二の話って言うか決意?も分かった。
「ちょうど良かった。こっちも立て込んでて。今日は村木の…」
言いかけて慌てて口を噤んだ。
陰険村木の尾行をする、とは流石に言えない。
「村木?村木がどうしたんだよ」
と裕二が興味深そうに腕を組む。
「いや、お前には関係ない話だ」
俺は適当に言って、「わり、仕事あるから」と言って裕二は尚もまだ聞きたそうにしていたが、そんな裕二を放っておいて、俺はさっさと自分のブースに戻った。
就業時間の20分前、フロアに入る為のIDカードをスキャンしようとしていると
「おはようございます」
と背後から声を掛けられた。振り返るとシロアリ緑川だった。
最近の顔色の悪さがちょっとだけ戻っている気がした。声にも張りがある。
緑川は制服姿で手にはコンビニのビニール袋を手にしていた。
「おはよ」
てか、相変わらず自分の席で朝食かよ。(※Fahrenheit参照)相変わらず変わんねぇな。
ま、食欲があるってことはいいことだけど。
「村木に怒られないのか?」ちょっと気になって聞くと、緑川は首を横に振った。
意外だな、あいつはそう言うこと小姑のように煩そうなのに。
それともやっぱ副社長の娘だから、大目に見てるってことか?いやいや、こないだ派手に怒鳴りつけてたからな、そう言う贔屓はしなさそうだが。
わ、分からん。
村木が分からん。