占い師の恋【完】
多少声が震えだしたことに気づいた風見さんが私に声をかけるが、そんなものは無視した。
「どうして…、馬鹿にすんなっ…!私がいつっ…、」
喉がアツイ。視界がユレル。
地に足が着いていないような、ふわふわしている感覚が私を襲う。
もう喚き散らすように叫んでいた私は、大きな手によって後頭部をつかまれ引き寄せられた。
顔面から衝突した私がいるのは、風見さんの胸の中。
「…悪かった。」
「…。」
「勝手なこと言っちまって、悪かった。」
「……。」
「茉希は、中途半端なんかじゃねえよな。」
そう言うと風見さんはまた強く私の頭を自分の胸板へと押し付けた。
聞こえてくる一定の速度で刻む心臓の音と温かい体温が酷く落ち着く。
「取りあえず…、外行くぞ。」
風見さんは私の耳元でボソリ、と囁くとその体勢のまま私を店外へと連れ出す。
風見さんの胸の中に顔を隠すようにして、お店の横の路地裏へと向かう。
ふうっと息を吐いた音が聞こえると、一度誰なのか疑うような優しい声が降ってくる。