占い師の恋【完】
「許した、なんでまだ゙言ったらダメだよ。」
正直、もう帰りたい。
棗ちゃんの怒った時の雰囲気とか笑顔は悪魔を連想させる。
風見さんも今は大人しく棗ちゃんの手からグラスを抜き取り、静かに処理している。
「ま、ままままだって…?」
どもりながらも棗ちゃんを見下ろせば、悪魔のような表情を一瞬にして消せば、今度は真顔。
この表情の急激変化はやっぱり青の幼なじみだと認識させられる。
「たったの一度や二度で、家族を大切にしなかった人を許しちゃダメだよ。本当に謝る気があるなら何度だって謝りに来る。」
「……。」
「まっきーがお父さんを許せれると思って、色んな気持ちの整理ができたら。許してあげればいいんじゃないかな。」
「私なら一発顔面やってやるけど」と。何とも恐ろしい台詞を付け足して、ふふっと笑った。
それには苦笑いしか返せないけど。
棗ちゃんは真っ直ぐだ。
こんな重たい話、親身になってくれる。彼女には何も関係ないのに、私を心配してくれる。