占い師の恋【完】
そして、私のアパートに到着してから。その気まずさに耐えられなくなり棗ちゃんに借りた服を洗濯し始めたのだが。
テレビでも見ててと言ったのに、青は洗濯機の前に仁王立ちする私に向かってずっと背後から声をかけるという怪しい図へと戻るのだ。
「こっちおいでよ。」
「無理。」
「なんで。」
「なんでも。」
「話するんでしょ。」
「…、」
それを言われたら、何とも言えないではないか。黙ってしまった私の耳にクツリと、喉を転がすような笑い声。
「茉希に聞いてもらわなきゃ、いけないんだ。」
声は甘いが、その雰囲気はあくまで深刻。
私も意味が分からない無駄な抵抗はやめて、青へと向き直り二人リビングへと向かった。