占い師の恋【完】
殺風景、と言うか…。これだけ広い部屋なのにあまりにも寂しすぎる。
ぼーっと窓から外を眺めていると、コトッ、とガラステーブルに置かれた二つのマグカップ。
「はい。熱いからね。」
「ありがとう。」
ぎしりと二人掛けの黒ソファのもう半分が青が座ったことで形よく綺麗に沈む。
そっとマグカップを手に取り、一口喉に流す。なんとなく予想はしてたけど…やっぱり高価な味がする。香りもそうだし何より美味しい。
青も一口紅茶を飲むと、そのマグを包むように膝の間で持ちゆっくりと言の葉を紡ぎ始める。
「俺さあ、会う前から茉希のこと知ってた。」
「……は?」
ついつい挑発的な相槌を返してしまったが、青は別に気にしていない様子で。マグカップの縁を人差し指でなぞる。