占い師の恋【完】
「どうしたんですか?」
そう電話の向こうに問いかけると、゙あー゙と思い出したように話し出した。
『いや…、゙弟が迷惑かけたね゙。』
「……(え?)」
返答は声にならなかった。
それより、どういうことなのか…。杉山さんの言葉の意味が上手くのみこめない。
「…、今何て。」
『弟が好き勝手しちゃったんでしょ。ごめんね?』
「………弟?」
『ああ、そっか…。』
一度、言葉を止めた杉山さんは少し考えてから言葉を続けた。
『知らないんだね。』
『俺は、杉山緑(りょく)で』
『弟は、杉山青。』
……絶対に嘘だろ。
いや、あんたの名は初めて知ったけども!
青と杉山さんが…兄弟?
「何か…頭おかしくなりそ。」
『大丈夫だよ。青は明確には知らないから。』
「…何が?」
噛み合わない会話の答えを急かす私に返ってきたのは、聞いたことのない…冷たい声。
『俺が兄貴なんて。』
ますます頭がこんがりそうだ。