秘密のMelo♪y⑤*NY編*
―ピルルルル、ピルルルル
答えようと口を開いたメイリー。
同時に、彼女の携帯が鳴った。
『あら。噂をすればだわ』
ニッと悪戯っぽく笑うと、メイリーは電話を取った。
『ハァイ』
『ハァイじゃあるか! なんだこれは!』
「え?」
「ん?」
電話口から漏れる男の声。
思えのあるその声に、俺達は咄嗟に反応してしまった。
『だってウィーンに他に知り合いがいなかったのよ。いいじゃなーい』
へらへら笑いながらそう言うメイリーは、してやったりという顔でちらっと俺達を振り返った。
『そりゃ事故のことは知ってるがなぁ…』
『だったら来なさいよ薄情者』
『だからなんで』
「……来るわけなくない? てか来なくてよくない?」
ぴったりと耳をくっつけながら、堂々と電話を盗み聞きしていた真裕。
ぼそっと呟いた。
「…ユウキなんてさー…」
…そう。
メイリーが慌てて間違えて買ったチケットを送りつけた相手というのが、ちょっと忘れかけていたユウキだったのだ。
『なんの義務があってニューヨークなんかまで行かなきゃならないんだ』
『義務とかの問題じゃないでしょ薄情者』
『あのな、俺はあんた達と違って藤峰真裕なんかとはなんの関係も…』