秘密のMelo♪y⑤*NY編*
もっと…あいつの音楽のように、輝くような、包み込むような、優しい光があった。
今まで世界中の人々を虜にしてきたあの笑顔だって。
昔よりもっともっと、綺麗になっていたのに。
それが今では、まったく影を潜めている。
……楓が、いないから。
真裕の笑顔が綺麗になっていたのは、楓のせい。
しっちゃかめっちゃかな性格が奔放に飛び回っていたのは、楓のせい。
澄み渡った音が自由に流れていたのは、楓のせい。
“藤峰真裕”が再び人々の光となったのは、楓のせい。
それなのに。
「それなのに……あの野郎、あれだけ真裕を大事にしていたのに。あれだけ愛しそうに腕に抱いていたのに。…こういとも簡単に離しやがって…」
『…シュン……』
真裕が…悲しんだり、苦しんだりしたときに。
必ず笑顔に戻したあいつが。
今、一番真裕を泣かせている。
真裕を泣かすものは許さないとでも言うように、守るみてェに抱きしめてたくせによ……。
「…………そう…か…」
キッと眉を寄せて下を睨みながら呟いた俺の言葉に、ただ一言、ぽつんとそう漏らしたユウキだった。
『……』
『……』
『……』
『……』
しばらく、室内は静寂に包まれた。
しんとなる…という言葉がぴったりだ。
「…なあ、腕を怪我しているみたいだったが……大丈夫なのか?」
『……え?』