秘密のMelo♪y⑤*NY編*
声を漏らすこともなく、まるで涙腺が崩壊してしまったかのように。
驚いて息を呑む三人すら目に入らず、頭の中に浮かぶあの人の姿が目の前にあるような気がしていた。
『マ、マヒロ…』
『大丈夫? どこか痛い?』
心配そうに聞いてくれる、メイリーとハディ。
……違う。
違うの。
お願い……お願い。
帰ってきてよ…かっくん…。
あたし、あなたがいてくれたら、バイオリンなんてできなくたっていい。
そのことで誰になんと言われたって構わない。
でもあなたがいてくれなきゃ嫌だよ…!
じゃなきゃ、あたしはあたしでいることすらできない。
帰ってきて…。
帰ってきてよ……お願い…!
「…っ……うえー…ん…」
『マヒロぉ…』
どうしちゃったの?と言いながら、頭を抱きしめてよしよししてくれるリジュ。
その仕草がまた、あの人を思い出させる。
「どうしていてくれないの…? うそつき~…」
言ったくせに…。
あたしがウィーンに行く前、言ったくせに。
飛んできて…抱きしめてくれるんじゃないの。
そばにいてくれるんじゃないの?
……うそつき…。