秘密のMelo♪y⑤*NY編*

――蓮二サイド――


「あたしさ……そろそろ行こうかと思うんだけどどう?」


「勝手にしなよ」


…冬休み突入二日後。

花梨は突然そんなことを言った。


ちなみに世は今二月。

思いっきり春に向かう頃だが、宝院は違う。

冬休みと春休みが合体してやってくるので、二月後半から三月後半までの一ヶ月が休みである。

まあ、あの事故で色々予定が狂ったのもあるけどね。


「そう。それはOKととっていいのね」


「……僕は行かないよ」


「なに言ってんの馬鹿ね」


「……」


なんでこう、人を巻き込むのが好きかねこいつは。

大体隣町にいくんじゃあるまいし…ニューヨークだぞ?

「そろそろ行こうかと思う」で行くようなところか?


「だって心配じゃないの? まおのこと」


「そりゃあ心配だよ。でも行ったってどうにかなるもんじゃないだろ?」


「でも…」


「いま彼女に必要なのは僕らじゃない。もちろん、シュン達でもない。…分かるね?」


楓しかどうすることもできないだろう。

でもぶっちゃけ…少し意外だった。


最初冷静に、


『あの人……もういないんでしょ?』


…そう言ったときはドキッとしたけれど。

そのあとの自殺未遂の数々も想定していたけれど。

ただ…。


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