秘密のMelo♪y⑤*NY編*
…おいおい。
あれが四十手前のおっさんの泣き方かよ。
しかも走って逃げてったよ。
『……仕方ないっちゃ仕方ないわね。パパのマヒロの溺愛っぷりはそりゃもううざいくらいだから』
『メイリー…。今一言余計だったわ』
『あらま』
しかしまあ、こうなったらしばらく放っておくしかないな。
今誰が行ったって同じ結果になるに違いない。
怒鳴られてすごすご戻るだ…。
『あちょっとアンタ、どうする気!?』
『やめとけよ!』
「え?」
焦るメイリーとアッシュの声に振り返ると、けろりとしていかにも普通に真裕の部屋に入って行こうとする…ユウキ?
は? あいつ何やってんだ?
「おいおい…怒鳴り返されるぞ」
忠告してみるも、丸無視だ。
遠慮もなにも、ノックすらなしに、年頃の女…まして一応人妻の部屋に入るユウキはある意味さすがだと思った。
後を追うわけにもいかず、どうしていいか迷う俺達だったが、扉に張り付いて聞き耳を立てる。
「ユウキ…」
真裕の少し驚いたような声が聞こえた。
「ユウキ!」
そら見ろ…。いきなり声を荒げた。
怒ってん…。
「ねえ聞いて!? ちょっと聞いて!?」
……え?