秘密のMelo♪y⑤*NY編*
手渡されたそれを目深にかぶり、ぼーっと窓の外を見つめた。
考えることなんてもはやない。
『ではあの路肩につけますね』
『ああ、頼む』
あんまり聞き慣れない英語だな…。
発音の違いかな?
ふとそんなことまで考えた。
―キッ…
そうしているうちにも車は止められた。
「あそこに建物が見えるだろ? あれだよ」
父様が指差したのは、個人病院らしく、少し小さな建物だった。
だけどあまり病院らしい外観ではない。
可愛い別荘みたいだ。
「大病院であるN病院からしばらく前に移されたそうだ」
ああ…なるほど。
ん…?
でもそれって…。
「悪い状態じゃないってこと?」
「…だと思いたいね」
「……」
きっと…そうよ。
だってかっくんだもん。
そうに決まってる。
自分に言い聞かせながら、丘の上にあるその病院へと足を向けた。