秘密のMelo♪y⑤*NY編*
じっと見つめるあたしに、父様は無理やりと分かる笑顔で言った。
「彼なら別の病院にいるよ。なに、大丈夫だ! 彼は強情だからね、死ねと言われても死なないだろ。わっはっは」
「……」
強情とかの問題じゃないでしょ。
なにがあったのかは分からないけど。
完全に無事というわけではないことは確か。
それは分かった。
「そんじゃ私、用事があるから」
「え?」
「じゃーなまおっ」
「え…」
いいけど…話があるとか言ってなかった…?
動揺し過ぎじゃない…?
…本当に、大丈夫なの? かっくん…。
いいようのない不安が押し寄せるけど、あたしにはどうしようもない。
指一本動かすこともまともにままならないのに、ガンガンあちこちに体をぶつけながら出て行く父様を捕まえて問い詰めることなんてできるわけないからね。
信じるしかない。
かっくんのことを……父様の言葉を。
信じるしか…ない。
「わ、わはは! じゃあなまお!」
―ゴンッ!
「いって! いて…いてててて…っつー!」
「……」
「あ、あははっ。さ、最近寝てないからなぁわはははは!」
ヘンな笑い方をしながら父様は病室を出た。