秘密のMelo♪y⑤*NY編*
…ということは、さして悪くもないということか。
…いや、楓のことで霞んでいるだけかもしれない。
「うん…いや、よくはない…というか、悲しいことだね、やっぱり」
「悲しい…? なにかあったんですか?」
「まだ言えない。まだ……可能性はあるからね」
可能性…か。
俺はこの数日で、その言葉が大嫌いになったさ。
悪い意味にもなるしな…。
「私はもう一度科捜研に行ってくるから、君達は休むんだぞ」
真裕父はそう言って念を押し、靴音を立てて去っていった。
あの人も諦めてはいなかった。
もはや確定とされた楓の死を、なんとか信じまいと色々なところを駆けずり回っているようだ。
でも…いつもいつも、もたらされる情報はその裏付け。
思い知らされるだけだった。
『とりあえずいったん戻ろう。…真裕に会わなくていいのか?』
ホテルに戻ることを決め、メイリー達を振り返る。
『…っ…合わせる顔が…ない…!』
『……そうか』
それも…そうだ。
そんな顔で会えば、真裕だって何かしら勘付くだろう。
蓮二達にまた明日にと告げ、アッシュはメイリーとリジュを。
俺はハディを支えながらホテルへと戻った。
『もう泣くんじゃねェ』
『平気でいられるわけないでしょ!? なに言われたか分かってるの!?』
『……』