秘密のMelo♪y⑤*NY編*

――洋平サイド――


「まじーな」


「なにがっすか」


「おおシュンくん。いつの間に」


翌朝ロビーで深刻に呟いた私。

降ってきた声は、シュンくんのものだった。


「深刻そうには見えなかったけど深刻なんすか?」


「失敬な。超真剣だよ僕は」


「誰も真剣じゃないとは言ってませんが」


「あれ?」


…えほん。

そ、それはまあ置いておくとして。

実際真剣なんだよ。


「真裕がさ、身体は確かによくなってはきてるんだけど…どうもね」


日に日に沈み込んでいく娘を見ているのは正直つらい。

楓くんの夢を見ては思い出し、思い出しては拒否反応が起きる。

それでは身体もなかなか治りはしない。


「ふう…。どうしたものか…」


「……楓以外にはどうしようもありませんよ…」


「……そうだね」


どんなときでも、あれにとっての一番は彼だった。

その彼がいない。

まして真裕が苦しんでいるのはその彼のことでだ。

我々にはどうしようもあるまい…。


しかしそれではだめだ。


< 73 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop