秘密のMelo♪y⑤*NY編*
パパの顔を見つめて、花梨はハッキリと言った。
「やっぱりあのとき、なにかあったんじゃないでしょうか?」
「!」
「だっておかしいじゃない! 蓮二の言う通り、他に人がいなかったなんてヘンよ」
修平のほうを見て言う花梨。
「それは…そうやけど…」
「ちょっと待て。私は初耳だぞ。どういうことだね?」
「だから…」
妙に真面目な顔で遮ったパパに、一部始終詳しく話してみせた花梨。
聞けば聞くほど、パパの顔はどんどん厳しくなっていった。
「…それに」
「それに?」
「さっき、まおが話してくれたんです」
…!
まおちゃんが……まともに話したっていうのか?
あれ以来…楓のことがあって以来、なにを言っても拒絶の一言しか発さなかった彼女が。
話したっていうのか…?
「あの子最近、夢を見てはうなされていますよね」
「ああ。起きたかと思えば気を失うこともしばしあった」
「その夢なんですけど…」
花梨の話に、この場にいる全員が眉をひそめた。
『どういう意味かしら…その夢。気持ち悪いわ』
「たぶん、まおの記憶じゃないかしら」
「…!」
「あの子ひょっとして……記憶を喪ってるんじゃありません――?」