秘密のMelo♪y⑤*NY編*
「…!」
「!」
「…!?」
記憶…を…!
花梨の一言に、僕達だけでなくシュン達も息を呑んだ。
「ふ…む…」
記憶を…か…。
しかしだとしたら、やっぱり。
…やっぱりあのとき、“なにかが”起きた。
あの強い彼女が記憶を喪ってしまうほどの、心をえぐられるようななにかが…あったんだ。
『で、でもその夢の通りだとしたら…カエデになにかあったって…ことよね…?』
おずおずとそう口を開いたハディは、眉尻を下げて俯いた。
「…その話も話だが、私は、真裕が君にそれを話したということがどうも嬉しいね」
「え?」
「私にすらまともに口を利いてくれなかったのに、そうして悩んでいることを打ち明けたんだ。進歩じゃないか」
まおパパの言うことも最もだった。
正直、ここ最近の彼女はあまりに憔悴しきっていて、見ているのもつらいくらいだった。
悲しみが緩和されたとは思わないけれど、確かに進歩。
これから少しずつ…少しずつ、そうして元のまおちゃんに戻ってくれればいいんだけど…。
「…あ!」
ふと悲しみに満ちたまおちゃんを思い出していたら、花梨が叫びながら弾かれたように頭を上げた。
「わ、忘れてた…!」
…かと思えば、慌ててそう呟きながら踵を返して病室に戻っていく。
……あいつ結局……なんなんだ?