秘密のMelo♪y⑤*NY編*
――真裕サイド――
「……」
りんりんが出てってからたぶんもう五分は経っている。
あるはずのないナイフを取りに行ったには遅すぎる。
「…?」
それとも…ないと思って探してるのかな?
ナイフ、ここにあるのに…。
ちらちらと果物ナイフと桃を交互に見比べながら、りんりんの帰りを待ち遠しく思った。
だって……甘そうだし…食べたくなっちゃった。
まだかな…。
そう思った瞬間だった。
―ガラッ
「ごめんまお! 遅くなっちゃったわね」
「あ、りんりん…。あのね、ナイフここにあるよ」
「へ? ナイフ? ……あ、ああ! ナイフね!? そ、そおねっそこにあったわね! どうりでないと思ったぁ❤」
「……」
……嘘っぽ。
え、嘘っぽくない?
どうしたんだろうりんりんたら…。
「ごめんごめん。じゃちょっと待っててね」
焦ったように笑いながら、りんりんは桃とナイフを手に取った。
そしていそいそと椅子に腰かけ…慣れた手つきで皮をむいたり、切り分けたりしていく。
すごいなぁ…。
あたしにはできないな。
あんくらいもできないんだから、お料理なんて無理だよね。