鏡の向こう


「久しぶり。」


私に微笑みかける拓海くん。


私もつられて笑みがこぼれた。



「すっげぇ逢いたかった…!!」


無邪気な笑顔。


『ん。私も。』

「……。」


拓海くんが私を見つめる。


『?どうしたの??』

「紗香ちゃん、
なんかあったでしょ。」

『なぃよ。』

「ある。俺には分かる。」

『なぃ……ょ。』

なんとも弱々しい返事。


これじゃぁ、
“あります!!”
って言ってるようなもんじゃん。


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