私ひまわり、あなたは花屋
「きゃっ!?」
車両の減速に合わせて慣性の法則が働いてさらにぎゅぎゅぎゅ、と押しつぶされた私は、
「ひゃっ!?」
あれよという間に再び肉の波に飲み込まれて今度はプラットフォームに押し出されたのだ。
最寄りの駅はもちろんここじゃないわけで。
慌てて車内に戻ろうとしたのだけれど、
「うっ……」
目の前に広がっていたのは見事な“肉の壁”。
気のせいか、湯気が立ってるようにも見える。
非常に申し訳ないとは思うけれど……“生理的”な反射で背筋に悪寒が走った。
たぶん、あれだ。
うん。
ここに乗り込むとなったら“純潔”を棄てる覚悟が必要な気がする。
そんな逡巡(しゅんじゅん)も束の間、駆け込み乗車禁止のアナウンスがプラットに流れて私は意を決し、
「てぁっ!」
と気合を込めて肉の壁の隙間に身体をねじこむべく肩からタックルを、
「むぎゅぅ」
とはいかず。
みっちりと詰まった憎々しい肉に再び外に押し戻され──
「うぉっ!?」
「ふぁっ!?」