桃染蝶
一夜の瞳に映る光景・・・

正二は腕を掴む、彼女の手を
振り解き、車に乗り込み
この場所から消える。

僅か、数分の出来事。

その場に一人残された彼女
沙織は俯き、零れ落ちる涙
を何度とその手で拭う。

拭っても拭っても流れる涙。

そんな彼女の肩に触れる
一夜の手。

「ショウ?

 じゃない
 
 貴方は、親分さん・・・
 
 どうして、ここに?」

「偶然、通りかかっただけだ
 
 それより
 ショウと何があった?」

「・・・・・・」

何も語らない沙織の瞳から
止め処なく零れる涙。
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