桃染蝶
正二・・・

貴方を愛しています。

停めてある車に凭れて立つ
貴方はサングラスをして
俯き、煙草を銜えてる。

貴方は今、何を考えてる?

お願い

何も考えないで・・・

サングラスの下の貴方の瞳が
見えなくて、私は少し不安に
なる。

私の目と貴方のサングラスの
奥の目がぶつかり合う。

お願いだから・・・

「お兄ちゃん」

貴方は、煙草を投げ捨て
両手を広げて駆け寄る私を
その胸に抱き留めてくれた。

逞しい、その腕で私を
優しく包む。
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