桃染蝶
見上げる私の瞳にサングラス
をずらした貴方の瞳が映る。

「やっと、見えた」

ほっとする私の唇に貴方の唇
が触れ私の瞳から涙が零れた。

この時、貴方と触れ合えるなら

もう、どうなってもいい・・・

そう、強く思った。

激しい口づけに、私達は溺れ
後先考えずに愛し合う。

二人きりになりたくて急いで
入ったラブホテル。

ムードも何もない、安っぽく
厭らしい和風の部屋・・・

襖を開けるとドーンと大きな
ベッドが置かれていた。

「この部屋に不釣合い」

「畳に布団の方が
 よかったか?」

「それは、もっと嫌」

二人は、微笑み合う。
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