桃染蝶
真夜中の訪問者に彼女は
嫌がる顔ひとつ見せずに
お茶を淹れてくれる。

その左手、その薬指にも
リングが輝いている。

「イチヤ、結婚したの?」

「ああ
 
 俺の女で、サオリ
 先週、入籍を済ませた」

俺の女、入籍・・・

「はじめまして、カヤコさん
 
 サオリと言います

 よろしくお願いします」

私へと差し出された手に
触れる事を拒む私。

私が、その綺麗な手に
触れられるわけが無い。

「ごめんなさい」

「いいの、気にしないで
 私の事知ってるわよね?」

ドキッ・・・

まさか沙織さん、私の事
知ってる?

正二の女・・・
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