桃染蝶
 それは、庵の事です
 どうか、庵を貴方と沙織さん
 の子供として育ててください

 誰にも庵が私の子供だと言う
 真実は話さないで、二人の
 子供にしてあげてください

 お願いします

 仲むつまじい、貴方達の傍で
 庵がずっと笑って過ごして
 いられる、そんな日常を
 私は遠くで見つめています
 
 一夜、沙織様
 どうぞ、庵の事を宜しく
 お願いします

 最後に、伝わる事のない想い
 を貴方に残します。

 庵・・・

 死に行く母を
 どうか、許してください

 母は一人の男性を心から愛し
 そして、貴方が生まれた

 愛する人からの最高の贈り物
 はイオリ、あなたです』

眠る庵の額にそっと手をあて
頭を撫でながら、花夜子は言う

「イオリ、ごめんね
 
 ママを、ゆるして」
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