桃染蝶
兄貴の運転する車がその日
免許を取ったばかりの運転手
の車と接触事故を起した。

あっけない、兄貴の人生の
幕切れ。

「ショウちゃん聞いてる?」

兄貴の死を知らせる年老いた
母の声を電話越しに聞きながら
俺は内容の濃さに驚き絶句した

憧れ続けた兄貴の死に直面
した俺は、腰を抜かした。


俺の前を走る人

追いかける背中

もう、どこにもない・・・

俺は、自分の歩む道を見失う。

兄貴の死に顔を見つめながら
俺は高月組二代目組長という
肩書きも、大の男だと言う事も
全て忘れて声をあげて泣いた。

「ア、ニキ・・・

 アニキ」

周りを気にせず、バカになって
泣いた。

生きる事、こんなにも辛い。
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