桃染蝶
「そう・・・」

部屋のドアに手をかける
私に聞こえる声。

大好きな声は言うの。

「カヤ

 俺は明日、この家を
 出て行く

 だから

 もう、苦しむな」

貴方は、布団を深く被る。

「苦しむな、ですって?

 私が何に苦しんでるって
 言うの?

 イチヤ、貴方には何も
 聞こえないんでしょう?

 何も知らない癖にそんな
 風に言わないでよ・・・

 ねえ、出て行くって
 何処に行くの?」

貴方がこの場所からいなくなる

愛する貴方が、いなくなる。
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