藤井先輩と私。
昼休み――



「とりゃっ!!」


「あっ陽依!私の弁当!!」



私は昼休みのチャイムとともに、ユカの席に走ると、ユカのカバンを取り上げて弁当を持って走った。


「返しなさい!!」


後ろから追いかけてくるユカ。


そのまま走って校舎裏のベンチへ行った。



「…っはぁ…はぁ…なんなのよ。弁当持って走って…」


「今日は、ここでご飯食べるの!」



「なんでここ?教室でいいでしょ?」

ユカは眉間にしわを寄せて、肩で息をしている。

校舎からここまで全力疾走したからそりゃ疲れる。

私もユカと同じく荒い息を整えながら話した。


「だって、知りたいんだもん!教室では小西君のこと話づらいでしょ?」


「バカっ!誰かに聞かれたらどうすんの!!」


ユカはすぐに顔を真っ赤にして周りをキョロキョロと見渡した。



「大丈夫だよ。ここ人来ないから(たぶん)」





……だって、知りたかったんだもん。

ユカの顔が赤い理由。

聞きたかったんだもん。



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