藤井先輩と私。
頭を下げたまま、先輩の反応を待つ。
許してくれるかな。
「そっか…うん。やっぱりな…なんやユカ気づいてるやんか俺の気持ち」
聞こえた声は、意味のわからない返事だった。
許してくれたの?
私は頭をあげて先輩の顔をじっと見た。
先輩はなぜかすごく悲しそうな顔をしている。
どうして?
「あのっ、だから私の名前を普通に呼ん「ちょっと待って」
私の言葉を、先輩は遮った。
「俺からはっきり言うから、直接伝えるから、もう一度断ってくれ」
先輩は一体何を言ってるんだろう。
私の理解力が乏しいのかな。
なにかをはっきり言うって…まさか、先輩私の気持ちに気づいてそれでその答えを言おうとしてる?
気付かない訳ないよね。
だって先輩、いままで告白とかされ慣れてるし、校舎裏とか体育館裏とか屋上とかに呼び出された経験ありそうだし。
このシチュエーションに、気付かないわけない。
ついに私…フラれるんだ。
でも…私、なにもしてない。
まだ何にもしてない。
このまま先輩にフラれても、教室に帰ってユカ達の前で堂々と泣けない。
負け犬。
言わなくちゃ。
たとえ今フられたとしても、私まだ先輩に直接気持ちを伝えてない。
「好き」って言わなくちゃ。
自分の口から。
「俺、陽依のこと好きやねん」