藤井先輩と私。
(side陽依に戻ります)







「……来ない…」




白いベンチに腰掛けて、数分。



たった数分しか経ってないのに、その数分が恐ろしく長く感じる。



夕陽がそらを赤くそめて、白いベンチもオレンジ色になってみえる。



「…メールの返事もこなかったし、やっぱり私先輩に避けられて…」





ガサササッ




後ろから草のざわつく音がした。



振り返ると…







「…せ、先輩」




慌ててきたのか少し額に汗をうかべた先輩が立っていた。




「ひ…橋宮さん」



陽依と言いかけて、橋宮と言い変える先輩。



私がこの前言ったこと気にしてるんだ。

先に謝らなきゃ。





「ごめんなさい!!」



深く頭をさげた。



  

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