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晃平は振り返って私を見下ろした。


「丗那、どうして言わなかったんだよ。」


「…ごめんなさい。」


私は俯いた。


だって、私が我慢したらいいことだって思ったから‥。



晃平はそっと私を抱き寄せた。



「ばぁか。」


「…。」


「俺がもう少し遅かったらどうなってたと思ってんだ。」


「ごめんなさいっ…。」



私は晃平の背中に手をまわした。



「ごめんなさいじゃない。」


「っ…。」



晃平はそっと離れ、私の顔を覗き込んだ。


「ありがとうだろ。」


「こうへっ……///」


晃平はクスッと笑って私にキスを落とした。



私は自然と目を閉じていた。



ありがとう‥晃平。



…あ!!!



「晃平!!」


「ん?」


「和華たちは!?」

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