CL
――お願いだから、あたしのこと休ませて。
そう泣き叫んだ彼女を、気が付けば俺は抱き締めていた。
華奢な体を、強く抱き締めてしまえば、折れてしまいそうなツキコを、ぎゅっと。
彼女の体温が、洋服越しに伝わってくる。
心地いい温度だった。ずっと、求めていた温度だった。
この“境界線のない距離”は、本当は――本当はずっと、俺が一番欲しかったものだった。
「……ごめん」
「……なんで謝るんよっ」
「ずっと嘘ついてたけん」
「……どれが、嘘なんよっ…」
「全部嘘。誤魔化してたんも嘘」
「……なん、それっ…」
「嫌いなわけないやん。ずっと好きやったヤツ、どうやったら嫌いになれるんか俺にはわからん」
「……えっ…」
「ホントはずっと好きやった、っちゅーか今も好き、お前のこと。7年振りに会って再確認した。やっぱ好きやなって」
「……な、なんそれ…もっと、早く言ってくれたらっ…」
「言えるわけないやん。だって7歳差やし。絶対危ないやんかそんなん」
いつからかは、覚えてない。
でもたしかに、“妹”として大事だったツキコが、違う意味で大事になっていたのは事実で。
けれど、この“7歳”という年の差は、俺にとってかなりの足枷となったのだ。
自分の年齢を恨むなんて、バカみたいな話だけれど。
でもその年の差を利用して、ずっとツキコへの気持ちを誤魔化してきたのは他でもない、俺だった。