【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~




そして、更に距離を重ね…



僕は住宅街から随分と離れた森の前に立った。



当然、周囲に家は一軒もなく、明らかに人によって切り開かれ整えられた弛く上り坂になっている道があった。



『……。』



引き込まれるように足が進んだ。



石畳を敷いた整えられた道は車一台が裕に通れるほどの幅だ。



等間隔にアンティークな雰囲気の街灯が立てられ、暗闇の中に薄ぼんやりとした朧気な光を放っていた。



周りは木々に囲まれていて…まるで外国のお伽噺の世界にでも入り込んでしまったようだ。



近づくにつれて心臓は鐘を鳴らし始める。








やがて



『……!』



鬱蒼とした森に囲まれた……大きな洋館のような建物が、僕の前に現れた。










ここだ…。









きっと、この先に―――僕の《運命の花嫁》がいる。









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