【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
走り始めてどれくらいの時が経ったのか…
辺りはやがて夜のとばりに包まれる。
僕は狼姿のままで花嫁を探した。
明るい陽色の毛皮は闇に浮かんで目立つだろうかとも思ったが、人通りがなくなったのをいいことに、夜目もきき力を十分に発揮することが出来るこの姿のままでいることにした。
それでも、もし誰かに見られればこんな大きな獣…警察まで登場する大騒ぎになりかねないから周囲をよく警戒しながら。
…胸が苦しい程にざわめいていた。
一刻も早く…見つけたい。
焦りばかりが僕の心を占めた。