【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
小さく細い身体をあちこち目視だけで確かめる。
酷い怪我だが、息はある。
まずは病院だ。
この姿のままじゃあうまく運べはしないから、変化を解こうと身構えた時
『……ぅ……』
『……!』
苦しそうに微かな呻き声をあげ、彼女の瞳がうっすらと…開いた。
右瞼は赤黒く腫れていた。僅かに開いた瞳から覗く黒目が、不安定にあちこちと揺れて
やがて…僕を捉えた。
震える切れた唇がパクパクと動き……
『…っ…そ………いっそ……ころ…して………』
『……!』
――――『いっそ…殺して』
弱々しく掠れた声で、彼女は言った…。
君が僕に求めたモノは
『助けて』でも、
『殺さないで』でもない
全てを………諦めたモノ…だった…。