【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
彼女はそのまま気を失った。
雨音はますます強くなる。
改めて変化を解くと華奢な身体をそっと抱き上げた。
負担をかけないよう気遣いながら、どうにか自分の着ていたシャツを脱ぐ。
傷と痣だらけの…小さく細い華奢な身体にそれを巻きつけた。
君が今、たとえ……死にたくても
僕はこれから、一滴の雨粒からだって
――――君を守るよ。
『…死なせない。』
――――バシャッ……!
赤子を守るように彼女を抱き込んで、僕はこの淀んだ場所から駆け出した。
僕が受けるこの酷い雨が
君の辛さを洗い流してくれたらいいのに
君を守ってあげられなかった僕の罪は…
一生流さなくていいから
『…ごめん…ごめん……っ…―――愛してる…っ』
――――頼むよ……生きてくれ。